生態系は生きものだけでなく、
空気、水、土や岩石も大事なメンバー。
名勝「空吹」(からぶき)の横を流れる殺生沢。
そこに不思議な紺色の水たまりが現れ、
お客様から問われることが多くなったのは、
6月のこと。
それまで、あったのかなかったのか、気づきませんでしたが、
4年間で一度も問われたことがなかったのです。
高校の先生に見てもらいました。
水たまりの底へ腕を突っ込むと、
黒い泥の奥へもぐるほど生ぬるい。
「こりゃ、地下深くで熱水が噴き出してる。
その熱で硫黄と鉄が化合して、
硫化鉄かなにかができて
川床に湧出してるんだよ」
なるほど、重金属だから、沈殿してたんですね。
大学の先生の見解もほぼ同じでした。
同時期、200m下流でも、橋の上から紺色の
水たまりが見下ろせました。
されど、万座の夏は雷雲が発生しやすく、
豪雨が頻々。
大きな石をごろごろ転がす濁流の日々。
群青色の水たまりは跡形もなく消え失せました。
でも、流れのゆるい場所には、
今でも黒い粉がサラサラ沈殿しているのが見えます。
調査で上流へ行かれた大学の先生によると、
群青の水たまりは、今でもいくつかあるとのこと。
流路が変わるごとに失せ、
また別の場所に姿を現す青黒い泉。
熱水(地下では200~300℃とも)が
湧く場所は限られているでしょうから、
せき止める岩さえ流れつけば、
また同じ場所にも現れるでしょう。